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広告代理店とフラクショナルCMO、どちらに頼むべきか

広告代理店は「実行」を外注する契約で、フラクショナルCMO(バーチャルCMO)は「意思決定」を外注する契約だ。目の前の施策が回っていないなら代理店、そもそも何をやるべきか決まっていないならCMOを選ぶべきで、この選択を逆にすると高い確率で失敗する。

何が違うのか——契約の対象が「手」か「頭」か

代理店に発注する時、依頼しているのは「決まった施策を実行すること」だ。クリエイティブ制作、媒体への入稿、日次の運用最適化、レポート作成。これらは全て「何をやるか」が事前に決まっている前提で成立する。

フラクショナルCMOに発注する時は逆で、依頼しているのは「何をやるべきかを決めること」そのものだ。予算をどの施策に配分するか、どのKPIを追うか、そもそも広告に投資すべきかどうか。実行そのものは行わないことも多い。

この違いを理解せずに「マーケを外注したい」という漠然とした状態で代理店に相談すると、代理店は自社が提供できる範囲(実行)の話しかできない。戦略が決まっていないまま実行だけが進み、施策は動くが事業は良くならない、という状態が生まれる。

費用構造・責任範囲はどう違うのか

以下は月商1000万円台、広告費月200万円程度の企業を想定した仮想モデルであり、実際の相場は業界・スコープ・提携パートナーの規模で大きく変動する。

項目広告代理店フラクショナルCMO(バーチャルCMO)
契約対象施策の実行(運用・制作・入稿)事業の意思決定(戦略・予算配分・KPI設計)
主な成果物クリエイティブ、運用レポート、CPA/ROAS改善事業計画、優先順位、体制設計、KPIツリー
責任範囲依頼された施策の範囲内施策選定を含む事業成果全体
費用構造(仮想モデル)広告費の15〜20%程度、月30〜50万円が目安稼働日数に応じた固定フィー、月50〜100万円が目安
意思決定権発注者側が持つ(代理店は提案のみ)CMOが事業側と共同で持つ
向いている課題施策は決まっているが手が回らない何に投資すべきか決まっていない

表からわかるのは、代理店の費用は「実行量」に紐づき、CMOの費用は「稼働時間・関与度」に紐づくという点だ。代理店に戦略立案まで期待して同じ予算感で依頼すると、期待値と契約内容がずれる。

両方を使う場合、どう分担を設計すべきか

事業規模が大きくなると、CMOが戦略を決め、代理店(Adsyncのようなクリエイティブ運用専門の実行部隊を含む)がそれを実行する体制が機能しやすい。分担の要点は以下の通り。

この時、報告ラインの設計が成否を分ける。代理店がCMOに対して報告し、CMOが最終判断を下す構造にすると機能しやすい。逆に代理店が事業側に直接報告し、施策単位の成果しか評価されない状態だと、代理店は自分たちが評価される指標(CPAやCTR)を最大化する方向に施策を最適化してしまう。事業全体としては最適でなくても、局所的なKPIは改善して見える、という状態が生まれやすい。

代理店に丸投げすると、なぜ失敗するのか

丸投げが失敗するのは担当者の能力の問題ではなく、契約構造の問題だ。代理店の評価指標は基本的に施策単位のKPI(CPA、ROAS、CTR)であり、この指標には「この施策自体をやるべきかどうか」という問いは含まれない。むしろ施策を止める提案は自社の稼働(=収益)を減らす方向の提案になるため、構造的にインセンティブが働きにくい。

さらに、代理店は複数クライアントを抱える前提のビジネスモデルなので、業界共通の「型」を持ち込みやすい。型は一定の成果を出すが、差別化要因にはならない。何をやらないか、どこに張るかという意思決定を誰も担っていない状態のまま実行だけが積み重なる、というのが丸投げ失敗の典型的な構造だ。

発注前に確認すべき質問は何か

代理店・CMOどちらに発注する場合も、契約前に次を確認すると期待値のズレを防げる。

  1. 「今の施策のどこに問題があるとお考えですか」——実行面の話しかしないなら代理店向きの課題、予算配分や事業戦略の話が出てくるなら意思決定の話
  2. 「KPIは誰が最終決定しますか」
  3. 「KPIが未達だった場合、施策を止める権限は誰にありますか」
  4. 「予算配分の見直しは誰の判断で行われますか」
  5. 「費用は実行量に対する対価ですか、意思決定に対する対価ですか」

これらの答えが曖昧なまま契約すると、後になって「思っていた範囲と違う」という不一致が発生しやすい。

結局、どちらを選ぶべきか

判断基準は一つだけで良い。「何をやるべきかは決まっているが、手が回らない」なら代理店。「そもそも何に投資すべきか決まっていない、または過去の投資判断の妥当性を検証したい」ならフラクショナルCMO。両方に当てはまる場合は、CMOが方針を決め、代理店(またはAdsyncのような実行専門チーム)が実行するという分担が、費用対効果の観点でも合理的になりやすい。

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