AIで広告バナーを作ると成果は出るか|量産して分かった条件
AIで広告バナーを作っても、当たる確率は上がらない。上がるのは作る速さだけで、当たるかどうかを決めるのは「誰に何を言うか」を人がどこまで決めているかだ。
これは月に数十本のバナーを回してきた現場の感覚をもとにした話で、以下の数字はすべて仮の例(月50本作る会社、審査に通る割合など)である。特定のお客様や商品の実績ではない。
AIに任せていい作業と、人がやる作業はどこで分かれるか
AIが得意なのは「決まった形の言い換え・色違い・大きさ違い」を大量に作ることだ。苦手なのは「何を言えば買ってもらえるか」を見つけること。AIは世の中にある表現の組み合わせを作る道具なので、まだ誰も試していない切り口を自分で見つけることはできない。
| 作業 | AIに任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 色やレイアウトの違うものを何枚も作る | 任せられる | 元の形があれば組み合わせで作れる |
| 文字数や言い方(です・ます等)をそろえる | 任せられる | 決まりごとに沿う作業に強い |
| 「何を言えば刺さるか」を決める | 人がやる | 新しい切り口は AI の外側にある |
| お客様が今どんな気持ちで見ているかを考える | 人がやる | 店や現場で聞いた声が要る |
| 写真や絵の権利を確かめる | 人が確認する | AIが作った絵の権利は人が見ないと分からない |
「何を言うか」は人が決め、決まった形の量産だけをAIに渡す。この線引きが曖昧だと、枚数は増えるのに当たらない、という結果になる。
作った後に起きやすい失敗は何か
AIでバナーを作り始めた会社が最初にぶつかるのは、次の4つだ。
- 日本語の文字が崩れる:画像の中の文字が変な形になる。30秒で作れたはずが、直しに30分かかることも珍しくない。文字はAIに描かせず、後から人が入れる方が早い。
- 商品の見た目が変わる:作り直すたびに、パッケージの色やロゴの形が微妙に変わる。自社商品の写真は、AIに作らせず実物を撮って使う。
- 言い過ぎる:AIは「刺さる言葉」を強い方向に振りやすい。「必ず効く」「業界一」のような言い切りが混ざり、広告の審査で落ちる。
- 他社のものに似る:有名な絵柄や実在の人物に近いものが混ざり、権利の問題になる。
仮に月50本作って、最初の審査に通るのが6割だった会社が、「使ってはいけない言葉」と「やってはいけない表現」を一覧にしてAIに毎回渡すようにしたところ、8割5分まで上がった、というのが現場感覚に近い改善の形だ。差を生むのはAIの性能ではなく、人が決まりごとをどこまで具体的に書き出せたかである。
AIへの指示は何から書けばいいのか
「かっこいいバナーを作って」では、それっぽいものが何枚出ても当たらない。指示を書く前に、次の5つを紙に書き出しておく。
- 言いたいことの型を1つに絞る(「他より安い」「その悩み分かります」「専門家が勧めている」「今だけ」のどれか)
- 見る人の今の気持ち(不満・不安・焦り・期待のどれか)
- 出す場所の決まり(文字数の上限、使えない言葉、審査の基準)
- 口調(言い切るのか、提案するのか、敬語はどの程度か)
- 書いてはいけないこと(言い過ぎ、他社との比較など)
この5つをそのままAIへの指示の骨組みにすると、出てくるものの散らばりが減り、審査に通る割合と言いたいことの一貫性が同時に上がる。順番を逆にして、先にAIに作らせてから型を考えると、何本出しても当たらない。
枚数が増えたとき、確認はどう回すか
枚数が増えるほど、確認の仕組みがないと不良品の割合も増える。確認は「機械にやらせる分」と「人が見る分」に分ける。
機械にやらせるのは、文字数・使ってはいけない言葉・画像の大きさと縦横の比率の確認だけ。ここに人の判断を混ぜると、時間がかかるだけで正確さは上がらない。こうした広告まわりの定型作業の自動化は、バナー作りそのものより先に仕組みにしておく価値がある。
人が見るのは2点だけに絞る。「決めた型から外れていないか」「出す場所の雰囲気に対して強すぎないか」。確認項目を増やすほど担当者の勘に頼るようになり、担当が変わると基準がぶれる。項目は絞った方が、結果として安定する。
Adsync(AIでバナーなどの制作と運用を代行する当社のサービス)の現場でも、量産で詰まるのは作る速さではなく、この二段構えの確認と、落ちたものを次の指示に反映する回し方である。落ちた理由を一覧に足していく運用が回っているかどうかで、月ごとの通過率が変わる。
AIはバナー作りの「量」の制約を外す道具であり、「何を誰に言うか」と「やってはいけないことの一覧」は、人がやる仕事として残る。自社の広告まわりのどの作業から仕組みにできるかは、無料のAI業務診断で棚卸しすると見当がつく。