AIの議事録は使えるか|1年使って分かった任せられる作業
会議の録音を文字にする作業は、AIにそのまま任せてよい。ただし「何が決まったか」をまとめる部分は、人が目を通さないと必ず間違える。
社内の打ち合わせと、お客様との打ち合わせの録音から、AIに議事録を作らせて1年ほどになる。分かったのは、議事録づくりが1つの作業ではないということだ。いくつかの作業に分かれていて、任せてよいものと人が見るものが混ざっている。ここを分けずに導入すると、書く時間は減らない。
どの作業なら任せられるのか?
議事録づくりは、大きく5つの作業に分かれる。作業ごとに、任せてよいかどうかが変わる。
| 作業 | 任せてよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 録音を文字にする | 任せてよい | 静かな部屋で1人ずつ話せば、直す箇所はほとんど出ない |
| 誰の発言かを分ける | 準備すれば任せられる | 1人1台のパソコンやマイクで話せば取り違えが減る |
| 話の要点をまとめる | 下書きまで | 話を短くはできるが、大事な順に並べ替えることはできない |
| 決まったことを抜き出す | 人が見る | 「決まった話」と「まだ検討中の話」の区別がつかない |
| やることリストにする | 人が見る | 担当者と期限を勝手に決めてしまう |
上の2つはそのまま使える。下の2つは、AIが出した下書きを人が見て直す。この形にすると、人が手を動かすのは下書きを直す5〜10分だけになる。録音を聞き直したり、一から打ち込んだりする時間はなくなる。
なぜ「決まったこと」だけ間違えるのか?
AIは話された言葉を短くするのは得意だ。ただし「これで行きましょう」の一言が、その場の決定なのか、条件付きの仮の合意なのかは分からない。
実際に起きるのは次の2つだ。会議の途中でいったん見送りになった案が、決定事項として残る。逆に、雑談の流れで決まった大事な話が丸ごと抜け落ちる。
どちらも文字にする精度の問題ではない。「決まった」という状態は、言葉づかいだけでは判断できないからだ。だから、ここだけは人が見る。全部を読み直す必要はない。AIが出した「決まったこと」の3〜5行に目を通すだけでいい。
精度を上げるために何を用意すればいいか?
始める前に3つ用意しておくと、直す手間がはっきり減る。
- その日の議題を先に書いて渡す。「見積の値上げ」「来月のシフト」のような箇条書きで構わない。話の区切りを正しく分けてくれる。
- 1人1台のパソコンやマイクで話す。会議室のスピーカー1台に全員で話しかけると、誰の発言か分からなくなる。
- 自社でよく使う言葉を先に登録する。商品名、取引先の社名、現場での呼び方などだ。登録しないと毎回違う文字になる。
この3つをやらずに始めて「精度が低い」と判断してしまう会社が多い。実際には準備の不足であることがほとんどだ。
議事録を作っただけでは何も変わらないのか?
議事録は、作っても読み返されない。効果が出るのは、決まったことがそのまま担当者への連絡につながったときだ。
やり方は簡単でいい。AIに「決まったこと」と「誰がいつまでにやるか」の下書きを出させる。会議の終わりに1人が5分で確認し、直したものをそのまま社内の連絡に流す。この確認を省くと、誰も手をつけないやることリストが増えていく。結局、後から人が探して回る時間が増える。
入れても時間が減らないのはどんな会社か?
次のどれかに当てはまる会議は、AIに任せても時間は減らない。むしろ直す手間が増える。
- 参加者が多く、複数人が同時に話す会議
- 議題を決めずに始まり、話があちこちに飛ぶ会議
- 誰が最後に確認するかを決めていない会議
逆に、参加者が3〜5人で、議題が決まっていて、確認する人が決まっている会議なら、記録にかかる時間ははっきり短くなる。うまくいくかどうかは、道具の性能より会議のやり方で決まる。
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