飲食店の予約管理、AIで手間を減らせるか
バラバラな予約の受付は、AIで一つにまとめられます。電話やネットの予約を自動で台帳に反映することもできます。
ただし「どこまでAIに任せて、どこから人が対応するか」を決めておかないと、かえって手間が増えます。この記事では、席数30席くらいの店を例に、手順と数字で説明します。
今、予約管理にどれくらい時間を使っているか
まず、よくある1日の予約の受け方を整理します。席数30席の店で、1日15件くらい予約が入る場合を考えます。
| 受付方法 | 件数の目安 | 記録の仕方 |
|---|---|---|
| 電話 | 7件 | 紙のメモに書く |
| LINE | 5件 | スマホの画面を見て台帳に書き写す |
| 来店時の口頭 | 3件 | レジ横のノートに書く |
この店では、閉店後に電話メモとLINEとノートを1冊の予約台帳にまとめ直しています。この作業だけで毎日30分かかっています。
30分というと軽く見えますが、月に20日営業すると10時間です。1人分の半日の仕事がここに消えている計算になります。
AIは予約管理の何を代わりにやってくれるか
AIが得意なのは、決まった形の情報を正しく記録することです。予約管理でいうと、次の作業がAIに向いています。
- 電話やLINEで来た予約を、日付・時間・人数・名前の形で自動記録する
- 同じ時間帯に席の数を超える予約が入ったとき、警告を出す(いわゆる二重予約の防止)
- 予約の一覧を、紙の台帳と同じような形で自動に作る
一方で、AIが苦手なのは「その場の空気を読む対応」です。たとえば、いつも同じ席を好む常連客への気配りや、誕生日のお祝いで何かサプライズを用意したいという相談は、AIには任せられません。ここは今まで通り店の人が電話やLINEで直接やり取りする部分として残す必要があります。
那覇市の例で試算するとどうなるか
那覇市の飲食店がAIで予約管理を効率化する例を見てみましょう。席数30席、1日15件の予約という前提で考えます。
AIに任せる範囲を「予約の記録」と「二重予約の警告」に絞ると、閉店後の集計作業がほぼなくなります。今まで30分かかっていた集計が、台帳の見直しだけで5分程度に短くなる見込みです。
月にすると、10時間かかっていた作業が1〜2時間に減ります。浮いた時間は、仕込みや常連客への電話連絡など、AIに任せられない仕事に回せます。
導入はどんな手順で進めるか
何もないところから急にAIを入れることはできません。まず次の3つを用意します。
- 今使っている予約台帳のフォーマット(紙でもエクセルでも構いません)
- お店の電話番号とLINEの公式アカウント
- 席の配置と最大人数がわかる席表
これらをそろえたら、次の順番で進めます。
- まず1週間分の予約の受け方を書き出し、どこをAIに任せたいか決める
- 電話やLINEの予約をAIが自動で記録する仕組みを試しに動かす
- 1〜2週間、今までの手書きの台帳と並行してつける
- 記録のズレがないか毎日確認する
- ズレがなければ、手書きの台帳をやめてAIの記録だけに切り替える
最初から全部切り替えず、並行運用の期間を置くことが失敗を防ぐコツです。
よくある失敗は何か
一番多い失敗は、電話の聞き取り精度が悪くて誤記が起きることです。特に次のような場合に起きやすくなります。
- 店の周りが騒がしい時間帯に電話を受けたとき
- お客様が早口だったり、方言が強かったりするとき
- 人数や時間を「だいたい」で伝えられたとき
この対策として、AIが聞き取った内容を、予約確定前に一度お客様に読み上げて確認する仕組みを入れておくと安心です。「本日の予約は、18時から4名様でよろしいですか」と一言添えるだけで、誤記はかなり減ります。
こうした顧客対応の自動化は、顧客対応の自動化メニューとしても整理できます。どこまで自動化してどこから人が対応するか、最初に線引きしておくことが大切です。
費用はどれくらいかかるか
費用は、どこまでAIに任せるかで大きく変わります。予約の記録と二重予約の警告だけなら、月に数千円から始められるサービスもあります。電話の自動応対まで含めると、月に数万円になることもあります。
最初から高い機能を全部入れるのではなく、まず一番手間がかかっている部分(この記事の例では集計作業)だけをAIに任せて、効果を確かめてから広げる進め方をおすすめします。
費用の考え方をもう少し詳しく知りたい場合は、AI導入の費用の考え方にまとめています。国のIT導入補助金など、全国で使える補助金を使える場合もあるので、あわせて確認してみてください。
繁忙期の予約はどう乗り切るか
連休や忘年会シーズンなど、予約が集中する時期は、AIだけに任せると対応が追いつかないことがあります。この時期は次の2つを組み合わせるとうまくいきます。
- 予約の記録と二重予約のチェックはAIに任せる
- 大人数の予約や貸切の相談は、店の人が電話で直接受ける
AIに「4名以上の予約は自動で店長に転送する」といったルールを設定しておくと、忙しい時期でも大事な予約を取りこぼしにくくなります。
自分の店に合うかどうか、どう判断するか
ここまで席数30席・1日15件の予約という前提で説明してきましたが、店によって予約の件数も受け方も違います。予約が少ない店では、AIを入れる効果が小さいこともあります。
自分の店の場合にどれくらい手間が減りそうか知りたいときは、無料のAI業務診断を使うと、3分程度で今の作業のどこにAIが向いているか確認できます。まずは現状の作業を書き出すところから始めてみてください。