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月次マーケKPIは5つで十分。増やすほど意思決定は遅くなる

月次で追うマーケKPIは5つで十分だ。指標を6つ目、7つ目と増やした瞬間から、会議の時間は伸び、誰も次のアクションを決められなくなる。

増える指標のほとんどは、既存の指標と相関している。チャーン率が悪化すればNPSも下がるし、CACが上がればLTV/CAC比も下がる。別の名前がついているだけで、実は同じ現象を違う角度から見ているにすぎない。指標が増えるほど「どれを見て動くべきか」の合意形成にコストがかかり、結果として誰も動かない会議になる。ここでは、月次で見るべき最小セットと、見る順序、悪化時の掘り下げ先まで具体的に示す。

指標を絞るとなぜ意思決定が速くなるのか?

指標が1つ増えるごとに、会議での確認項目・解釈・議論が増える。10人のチームで5指標なら1指標あたり2分の議論でも10分で終わる。10指標になれば単純計算で20分、しかも指標間の矛盾(Aは良いがBは悪い、どちらを信じるか)の調整に追加で時間がかかる。

減らす基準は「その指標が悪化したときに、誰が何をするか即答できるか」だ。答えられない指標は、意思決定に使われていない、つまり測る意味がない。

最小セット5指標とは何か?

以下は月額課金SaaS(想定ARPU3万円、粗利率80%、想定CAC回収期間12ヶ月以内)を仮想モデルとした場合の目安である。業種・単価によって数値の目安は変わる。

指標定義(計算式)見る理由目安ライン(仮想モデル)
新規MRR成長率(当月新規MRR − 前月新規MRR)÷ 前月新規MRR事業成長のトップライン月次+10%以上
チャーン率当月解約MRR ÷ 前月末MRR穴が開いていないかの確認月次2%以下
CACマーケ費用 ÷ 新規顧客数獲得効率10万円以下
LTV/CAC比LTV ÷ CAC採算が合っているか3倍以上
マーケ経由SQL数マーケ起点で商談化した件数来月以降の先行指標前月比±20%以内で安定

5つのうち最初の4つは「今月の結果」、最後の1つだけが「来月の予測」である。この配分が崩れて先行指標ばかり見ていると、悪化に気づくのが1〜2ヶ月遅れる。

見なくてよい指標は何か、なぜ不要なのか?

これらは完全に無意味というわけではなく、SQL数やCACが悪化したときの「ドリルダウン先」として使う。月次のメイン指標としては見ない、という切り分けが重要だ。

月次ミーティングでは何をどの順番で見るべきか?

  1. 新規MRR成長率:まず全体の健康状態を確認する。
  2. チャーン率:成長が止まっているなら、獲得の問題か流出の問題かをここで切り分ける。
  3. CAC:獲得コストが膨らんでいないか確認する。
  4. LTV/CAC比:獲得と維持のバランスから、事業として持続可能かを判断する。
  5. マーケ経由SQL数:最後に、来月以降の見通しを確認する。

結果(1〜4)を先に見て、予測(5)を最後に見る順序にしているのは、過去の実績を確定させないまま先行指標を議論すると、「良い予測」で悪い結果を覆い隠す議論になりがちだからだ。

数字が悪化したとき、次にどこを掘るべきか?

悪化した指標ドリルダウン先
新規MRR成長率チャネル別新規獲得数、単価別の内訳
チャーン率解約理由の分類、契約後3ヶ月以内の解約率
CACチャネル別CAC、CPA、CTR、フォーム完了率
LTV/CAC比ARPU、契約継続月数、アップセル率
マーケ経由SQL数リード数、リード→SQL転換率、チャネル別リード質

ドリルダウン先を先に決めておくと、悪化を発見した当日に「次に何を確認するか」で迷わない。逆に、ドリルダウン先が決まっていない指標は、そもそも最小セットに入れる資格がない。

最小セットは業種や成長ステージによって微調整が必要だが、「5指標で結果を確認し、悪化したら決まった場所を掘る」という運用の型自体は変わらない。指標を増やす前に、まず今見ている指標をどこまで使い切っているかを確認したほうがいい。

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