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運送会社がAIで減らせる事務作業とは

運送会社がAIでまず減らせるのは、配車の調整ではない。運行が終わったあとの記録づくりだ。

配車調整は荷主との調整や急な変更が多く、AIだけでは判断しきれない。一方で日報や点呼の記録は、話す内容がほぼ決まっている。だからAIに向いている。

どの事務作業がAIで減らせるのか

運送会社の事務作業を5つに分けて、AIで減らせるかどうかを整理する。

作業内容AIで減らせるか理由
運行日報行き先・時間・距離を記録減らせる話す内容が毎回ほぼ同じ形式のため
点呼記録出発前・帰着後の確認事項を記録一部減らせる記録は自動化できるが、最終確認は人が必要
請求書運んだ荷物の内容から金額を計算して発行減らせる運行記録から金額を出す作業は定型的なため
配車調整誰にどの荷物をいつ運ばせるか決める減らせない急な変更や荷主の都合が絡み、判断が要るため
荷主への連絡遅延の連絡や納品確認の電話・メール一部減らせる定型文の返信は自動化できるが、交渉は人が必要

表の右2つ、配車調整と荷主への連絡は、まだAIに任せきれない。人の経験と信頼関係がものを言う部分だからだ。

運行日報はどうやってAIで作るのか

やり方はシンプルだ。ドライバーがスマホに向かって声で話すだけで、日報の下書きができる。

ただし、いきなりスマホに話しかけさせても、うまくいかない。先に用意するものが3つある。

  1. 日報に必ず入れる項目のリスト(行き先、出発時刻、到着時刻、走行距離、給油量など)
  2. その項目を、話す順番に並べたひな形(「行き先は◯◯、出発は何時、到着は何時」という話す型)
  3. ドライバーへの説明(「この順番で話してください」という1枚の紙かLINEのメッセージ)

この3つを用意してから、AIに音声を文字に直させて、決めた項目に振り分けさせる。これで日報の下書きができる。ドライバーは最後に数字を見て、間違いがないか確認するだけで済む。

点呼記録も同じやり方で下書きは作れる。ただし点呼は法律で決まった確認事項があるため、最終的な記録の確認と署名は、点呼を担当する人が必ず行う必要がある。

請求書づくりはどこまで任せられるか

運行記録が整理できていれば、そこから請求書の下書きを作ることもできる。行き先と距離と単価が決まっていれば、金額の計算は機械的な作業だからだ。

請求書の発行や、入金の確認といった経理まわりの作業をまとめて見直したい場合は、請求書づくりの自動化のページで具体的なやり方を紹介している。

配車調整と荷主への連絡は本当に減らせないのか

配車調整が難しいのは、荷物の量や道路状況、ドライバーの体調など、その日その日で条件が変わるからだ。AIに任せると、例外への対応が抜け落ちる恐れがある。

ただし、荷主からの急な追加注文の受付や、在庫の確認といった部分は自動化しやすい。運送会社でも荷物の預かりや在庫管理を兼ねている場合は、受発注・在庫の自動化を組み合わせると、配車を決める前の情報集めが楽になる。

荷主への連絡も、「遅延しそうです」「明日の便は通常通りです」といった定型的な連絡文なら、AIに下書きさせて人が最後にチェックするだけで済む。

月にどれくらいの時間が浮くのか

仮に、千葉県船橋市にある従業員15人の運送会社(ドライバー12人、事務2人、経営者1人)で試算してみる。船橋市の運送会社がAIで日報と請求書の作業を見直した場合を想定した数字だ。

作業導入前(1件あたり)導入後(1件あたり)月間の件数目安月に浮く時間
運行日報の作成15分5分12人×22日=264件約44時間
請求書の下書き作成10分3分月80件約9時間

合計すると、月に約53時間が浮く計算になる。事務担当2人分の残業時間にすると、1人あたり月26時間ほど減る計算だ。これはあくまで仮の数字であり、荷主の数や記録の項目数によって変わる。

AIを入れても減らないケースがあるのはなぜか

ここまでの試算は、日報や請求書の様式が社内で統一されている前提だ。実際には、荷主ごとに日報の書式や請求書の項目が違う運送会社が多い。

様式がバラバラだと、AIに「この項目をここに入れて」と教える作業が荷主の数だけ発生する。結果として、最初の設定に時間がかかりすぎて、減った時間よりも設定の手間の方が大きくなることがある。

この場合は、まず自社で使う日報の項目を1つの形に統一してから、AIに任せる部分を決めるほうがうまくいく。荷主ごとの様式は、あとから変換する仕組みを別に用意すればよい。

どこから手をつければ自社に合っているか分からない場合は、無料のAI業務診断で今の作業内容を整理してみると、減らせる作業とその順番が見えてくる。

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