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発注書を作る手間、AIでどこまで減らせるか

発注書作成の多くは、AIで下書きまで自動化できる。ただし最終確認は人がやる必要がある。

この2つを分けて考えないと、AIを入れても「結局チェックが大変で楽になっていない」という状態になる。この記事では、取引先ごとに書式が違う発注書を毎回手作りしている会社を想定して、どこをAIに任せて、どこを人が見るべきかを具体的に説明する。

発注書を作るのに、今どれくらい時間がかかっている?

話を具体的にするため、仮のモデル会社を置く。従業員20人の金属加工会社で、取引先が10社あるとする。取引先ごとに発注書の書式が違い、あるところはエクセルの決まった形、あるところはFAXで送る手書き風の紙、というように分かれている。

この会社が月に80枚の発注書を作るとすると、1枚あたりの作業時間はだいたいこうなる。

作業内容かかる時間の目安
見積書や注文メモから品番・数量・金額を拾う5分
取引先ごとの書式に転記する5分
金額や数量の見直し3分
印刷またはFAX送信、控えの保存2分
合計15分

1枚15分として、月80枚なら合計で20時間かかる。1日8時間として、まる2.5日分の仕事だ。この時間の大部分は「品番を探して転記する」という単純作業に使われている。ここがAIで減らせる部分になる。

AIが下書きできるのはどこまで?人が確認すべきはどこ?

AIが得意なのは、情報を拾って形にすることだ。例えば見積書のメモや、取引先からのメールの文面から、品番・数量・単価・納期を読み取って、決まった書式に流し込む作業はAIに任せやすい。

先ほどの15分の作業でいうと、「品番・数量・金額を拾う」5分と「書式に転記する」5分、合わせて10分の部分は、AIが下書きを作ることでほぼゼロに近づけられる。

一方で、次の3つは必ず人が見る必要がある。

AIは「それらしい形」を作るのは得意だが、正しいかどうかの判断はできない。金額を1桁間違えた発注書がそのまま取引先に届いてしまうと、後で大きなトラブルになる。ここは人が15分の作業のうち3分かけて見直していたのと同じように、AIを使った後も必ず目で確認する時間を残す必要がある。

結果として、1枚15分だった作業は、AIの下書きと人の確認を合わせて5分程度まで縮められる可能性がある。月80枚なら、20時間かかっていた作業が6〜7時間程度になる計算だ。

取引先ごとに書式が違う場合、AIはどう対応する?

ここが今回の相談で一番の悩みどころだと思う。取引先A社用のエクセル発注書、取引先B社はFAXで送る紙の発注書、というように書式がバラバラなケースだ。

この場合、まずやるべきことは「どの取引先が、どんな書式を使っているか」を一覧にまとめることだ。書式そのものを統一する必要はない。AIに「A社の書式はこの形」「B社の書式はこの形」と教えてあげれば、それぞれの形に合わせた下書きを作らせることができる。

具体的な手順はこうなる。

  1. 取引先ごとの発注書のひな形(エクセルファイルや過去に送った紙のコピー)を用意する
  2. 品番・数量・金額など、毎回変わる部分と、変わらない部分(会社名や振込先など)を分けて整理する
  3. 見積書やメモの内容をAIに渡し、「この内容をA社の書式に合わせて発注書の形にしてください」と指示する
  4. 出てきた下書きを、金額と数量を中心に確認する

FAXで送る紙の発注書についても、手書きのメモをスマートフォンで撮影して、そこから文字を読み取らせて下書きを作る、という流れが使える会社もある。ただし手書きの文字の読み取りは完璧ではないので、確認の手間はエクセルの場合より少し多めに見ておいた方がいい。

東大阪市の製造業がAIで発注書を作るなら、最初の一歩は何?

東大阪市の製造業からAIで発注書を作りたいという相談を受けることがある。多くの場合、いきなり全部の取引先の書式をAIに覚えさせようとして、途中で止まってしまう。

最初の一歩としておすすめなのは、取引先を1社だけ選んで試すことだ。例えば、月に発注書を一番多く出す取引先か、一番書式が簡単な取引先を選ぶ。その1社分だけ、見積書からAIに下書きを作らせて、実際に何分で終わるか、どこで間違えやすいかを確かめる。

1社でうまくいく形が見えたら、次の取引先に広げていく。全部一気にやろうとしないことが、途中で挫折しない一番のコツだ。

どこから手をつければいいか自分の会社では判断がつかない、という場合は、無料のAI業務診断で今の作業のどこにAIが使えるかを一緒に確認する方法もある。

導入で失敗しやすいのはどんなパターン?

実際に発注書作成にAIを使い始めた会社でよく見かける失敗は、次の3つだ。

確認の工程を省いてしまう。AIの下書きをそのまま取引先に送ってしまい、金額の間違いに気づかず送信してしまうケースがある。AIが作った下書きは、必ず人が金額と数量を見る、というルールを最初に決めておく必要がある。

全部の取引先を一気に切り替えようとする。書式が違う取引先が10社あるなら、10社分の型をAIに一度に覚えさせようとして、結局どれも中途半端になる。1社ずつ確実に進めた方が早く形になる。

誰が使うか決めずに導入する。発注書作成を担当している人が複数いる会社では、AIの使い方を教える人と、実際に手を動かす人がずれてしまい、結局元のやり方に戻ってしまうことがある。担当者を決めて、その人が使いこなせる状態を作ってから、他の人に広げる方がうまくいく。

また、インボイス制度に対応した発注書を作る場合や、電子帳簿保存法にあわせて発注書を電子データのまま保存する場合は、AIが作った下書きの段階でその形式に合っているかも確認しておく必要がある。ここも、AIに任せきりにせず、最初は人が形式をチェックする工程を残しておいた方が安全だ。

費用はどれくらいかかる?

AIを使った発注書作成の仕組みを整えるには、使うAIの利用料と、書式を整理してAIに覚えさせる作業の手間がかかる。会社の規模や取引先の数によって幅があるので、一律の金額を出すのは難しい。

中小企業が使える補助金を活用できる場合もあるので、費用を検討する際はAI導入に使える補助金も合わせて確認しておくといい。東大阪市など各地域の商工会議所でも、独自の支援制度がある場合があるので、地元の商工課や商工会議所に問い合わせてみるのも一つの方法だ。

依頼先を選ぶ際は、発注書のような日々の細かい作業を理解した上で提案してくれるかどうかが重要になる。自社に合わせて受発注や在庫の作業を自動化する方法を検討する際の参考にしてほしい。

まとめ

発注書作成のうち、品番や数量を拾って書式に転記する作業はAIに任せられる。ただし金額と数量の最終確認は、これまで通り人がやる必要がある。取引先ごとに書式が違っても、1社ずつ型を整理して試していけば、無理なく広げていける。まずは一番多く発注書を出している取引先1社から、試してみることをすすめる。

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