1. Home
  2. Notes
  3. 建設会社がAI導入で見積書作成を早くする方法

建設会社がAI導入で見積書作成を早くする方法

建設会社は、見積書作成をAIで大きく早くできます。コツは、過去の見積データを活用することです。

この記事では、千葉県木更津市の建設会社を例に考えます。木更津市はアクアラインに近く、住宅工事から道路や河川の土木工事まで、案件の種類が多い地域です。案件の種類が多いほど、見積書作成の負担も重くなります。この記事では、なぜ時間がかかるのか、AIに何を任せられるのか、始め方と失敗ポイントまで具体的に説明します。

例にする木更津市の建設会社には、どんな特徴があるのか?

木更津市には、住宅を建てる工務店、道路や下水道の工事をする土木会社、リフォームを専門にする会社など、さまざまな建設会社があります。1つの会社が住宅工事と公共工事の両方を受けているケースも珍しくありません。

案件の種類が多いと、見積書のパターンも増えます。木造住宅の見積書と、道路工事の見積書では、材料も工賃の計算方法もまったく違います。過去の見積書を1つ1つ見比べながら作る担当者にとっては、これが大きな負担になっています。

建設業向けのAI活用について、業種ごとの詳しい話は建設業のAI活用でも紹介しています。

なぜ見積書作成に時間がかかるのか?

見積書作成に時間がかかる理由は、大きく3つあります。

1つ目は、材料費の確認です。木材や鉄筋、コンクリートなどの値段は、仕入れ先や時期によって変わります。前回の見積書のまま使うと、価格が合わなくなることがあります。

2つ目は、工賃の計算です。職人が何人、何日かかるかを見積もり、日当をかけ算して出します。工事の内容によって必要な人数が変わるため、毎回計算し直す必要があります。

3つ目は、過去の似た工事との照合です。「前に似たような住宅を建てたときは、いくらだったか」を確認しながら金額を決める会社が多く、この照合作業に一番時間がかかっています。

見積書のどの部分をAIに任せられるのか?

AIが得意なのは、過去の見積書の中から、今回の工事条件に近いものを探し出す作業です。

例えば「木造2階建て、延べ床面積35坪」という条件を入力すると、過去に作った似た条件の見積書をAIが探し出します。そして、その見積書をもとに、材料費や工賃の項目が入った下書きを作ります。

この下書きをもとに、担当者が材料費の最新価格を確認し、工賃を微調整すれば、見積書が完成します。ゼロから作るのではなく、AIが作った下書きを直す作業に変わるため、時間が大きく減ります。

過去の見積書をデータとして活用する話は、営業活動の効率化にもつながります。詳しくは見積書や提案書づくりの効率化でも取り上げています。

実際にどれくらい早くなるのか?(仮のモデルで見る)

ここからの数字は、木更津市内の建設会社をイメージした仮のモデルです。実際の数字ではなく、目安として読んでください。

従業員15人の建設会社で、住宅工事と外構工事を中心に請け負っているとします。この会社では、見積書1件を作るのに、担当者が3時間かけていました。

作業内容導入前導入後(仮)
過去の見積書を探す60分5分
材料費を確認する60分30分
工賃を計算する40分15分
全体を整える20分10分
合計約3時間約1時間

この会社では月に20件ほど見積書を作るため、1件あたり2時間浮くと、月に40時間ほど浮く計算になります。これはあくまで仮の数字ですが、探す作業が一番減りやすいことは、多くの建設会社に共通しています。

何から始めればいいのか?

まず用意するのは、過去の見積書です。紙で残っているものも、パソコンにエクセルで保存しているものも、どちらでも構いません。

最初のステップは、過去の見積書をデータにすることです。過去1〜2年分の見積書を、パソコンに打ち込むか、スキャンして読み込みます。件数の目安は、50件から100件程度あれば、AIが似た条件を探しやすくなります。

次に、それぞれの見積書に「工事の種類」「延べ床面積」「工期」などの条件をメモとして付けます。この条件があることで、AIが「今回の工事に近いもの」を正しく探せるようになります。

いきなり全部を仕組みにしようとせず、まずは1年分だけデータ化して試してみることをおすすめします。何から手をつけていいか分からない場合は、無料のAI業務診断を使うと、自社に合う進め方が見えてきます。

どこで失敗しやすいのか?

一番多い失敗は、材料費の変動を反映し忘れることです。

AIが作る下書きは、過去の見積書をもとにしています。そのため、木材や鉄筋の値段が上がっていても、下書きには古い価格がそのまま入っています。担当者が「AIが作ったから正しいはず」と思い込み、価格の確認を省略してしまうと、赤字の見積もりを出してしまう危険があります。

対策はシンプルです。見積書を出す前に、材料費の最新価格だけは必ず人の目で確認するというルールを決めておくことです。AIに任せるのは「下書きを作るところまで」、最終確認は必ず人が行う、という役割分担を最初に決めておけば、この失敗は防げます。

建設会社が使える支援はあるのか?

AIを導入する際には、費用の負担が気になる会社も多いはずです。国や都道府県、市町村(木更津市の例なら千葉県と木更津市)では、中小企業のAI導入や業務改善を後押しする補助金の制度が用意されている場合があります。

制度の内容は年度によって変わるため、利用できるかどうかは事前に確認が必要です。補助金の考え方や選び方については、AI導入に使える補助金にまとめています。自己資金だけで進める前に、一度目を通しておくと安心です。

結局、何をすればいいのか?

見積書作成を早くする一番の近道は、過去の見積書をデータにして、AIに探させることです。

材料費と工賃の最終確認だけは人が行い、探す作業と下書き作りをAIに任せる。この役割分担ができれば、木更津市の住宅工事や土木工事のように案件の種類が多い会社でも、見積書作成にかかる時間を減らせます。

まずは過去1年分の見積書を集めるところから、始めてみてください。

← 記事一覧へ戻る