お客様からの電話対応をAIに任せていいのか
よくある問い合わせはAIに任せられます。ただし、込み入った相談やクレームは人が対応すべきです。この線引きを間違えると、便利なはずのAIがかえってお客様を怒らせてしまいます。
電話対応がしんどいと感じるのはなぜか?
電話対応が負担になる理由は、だいたい2つに絞られます。
1つ目は、同じ質問を何度も聞かれることです。営業時間、定休日、駐車場の有無、予約が取れるかどうか。毎日同じ内容の電話が何本もかかってきます。
2つ目は、人手が足りないことです。電話を取れる人が限られていると、接客中や作業中でも電話に出なければなりません。手を止めて対応するたびに、本来の仕事が遅れます。
この2つが重なると、電話が鳴るたびにストレスがたまります。
留守番電話とAI電話、何が違うのか?
留守番電話は、お客様のメッセージを録音するだけです。後で聞き直して、こちらから折り返す必要があります。お客様は「本当に連絡が来るのか」と不安になりますし、折り返す手間もかかります。
AI電話は、その場でお客様の質問に答えます。営業時間を聞かれたら答え、予約が取れるか聞かれたら空き状況を伝えます。お客様は電話をかけたその瞬間に用事が済みます。
留守番電話が「伝言を預かる」ものだとすれば、AI電話は「その場で対応する」ものだと考えると分かりやすいです。
AIに任せていい電話とは、どんな電話か?
AIに任せやすいのは、答えがあらかじめ決まっている電話です。
- 営業時間や定休日の案内
- 在庫があるかどうかの確認(「今日はもう売り切れです」など、決まった答えでよいもの)
- 予約の受付(空いている時間を伝えて、予約を登録する)
- よくある質問への回答(駐車場の有無、支払い方法、アクセス方法など)
これらは、答えを一度決めてしまえば、何度聞かれても同じように答えられます。人が毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなります。
こうした定型的な電話対応をAIに任せる方法は、顧客対応の自動化メニューでも詳しく紹介しています。
AIに任せてはいけない電話とは、どんな電話か?
一方で、AIに任せてはいけない電話もはっきりしています。
- クレーム(不満や苦情の電話)
- 特殊な相談(アレルギー対応の細かい相談、特別な注文の相談など)
- 感情的になっているお客様への対応
- 金額や契約に関わる交渉
AIは決まった受け答えしかできません。相手の気持ちをくみ取ったり、その場で臨機応変に判断したりするのは苦手です。
クレームの電話にAIが決まった言葉で答えると、お客様はさらに怒ってしまうことがあります。「話を聞いてもらえていない」と感じるからです。こうした電話は、必ず人が直接対応する必要があります。
AIに任せる範囲を広げすぎて失敗するケースは珍しくありません。どこまで任せられるかの見極め方はAI導入が失敗する5つのパターンにもまとめていますので、あわせて確認しておくと安心です。
実際どれくらい楽になるのか?仮の数字で計算してみると
ここからは、あくまで仮の数字を使った例え話です。実際の効果を保証するものではありません。
ある飲食店を例にします。1日に予約の電話が30件かかってくるとします。1件あたりの対応時間は3分だとします。
このうち半分をAIに任せられたとすると、次のようになります。
| 項目 | 今まで(全部人が対応) | AIに任せた場合(仮の数字) |
|---|---|---|
| 1日の予約電話の件数 | 30件 | 30件(うち15件をAIが担当) |
| 1件あたりの対応時間 | 3分 | 人が対応する15件は3分、AIが対応する15件は確認のみで数十秒 |
| 1日の合計対応時間 | 90分 | 約45分 |
| 1か月(30日)の合計 | 2700分(45時間) | 約1350分(22.5時間) |
この仮の数字どおりなら、月に20時間以上の余裕が生まれる計算になります。ただし、これは「半分の電話が定型的な内容だった場合」の話です。実際のお店では、この割合は店によって変わります。
何から始めればいいのか?
最初から全部の電話をAIに任せる必要はありません。まず一部の時間帯だけ試すのがおすすめです。
- まず、過去1か月の電話内容を振り返ります。どんな質問が多かったか、メモや記憶をもとに書き出します。
- よくある質問への答えを、あらかじめ用意します。営業時間、定休日、予約の空き状況などです。
- 一番忙しい時間帯や、夜間の閉店後だけAIに任せてみます。全部の時間帯を一度に切り替えないことが大切です。
- 数週間、試しに使ってみます。
料金は、月々1万円台から5万円くらいのものが多く、始めるときの費用がかからないものもあります。費用の考え方はAI導入の費用の考え方で詳しく説明しています。
条件によっては、電話対応のAI導入に使える補助金がある場合もあります。AI導入に使える補助金もあわせて確認しておくとよいでしょう。
自社の電話対応がAI向きかどうか分からない場合は、3分でできる無料のAI業務診断を使って確認する方法もあります。
始めた後、何を確認すればいいのか?
始めてからが本番です。次の3つを毎週確認することをおすすめします。
1つ目は、AIが対応した件数と、人が対応した件数を数えることです。思ったより人の対応が減っていない場合、任せる範囲がまだ狭いかもしれません。
2つ目は、AIが答えられなかった質問をメモしておくことです。同じ質問が何度も答えられていない場合、その答えを新しく用意します。
3つ目は、お客様から苦情が増えていないか確認することです。お客様の電話番号や名前がどのように保存されるかも、始める前に確認しておくと安心です。
この3つを繰り返すことで、少しずつAIが答えられる範囲を広げていけます。
お客様の反応は、どう見ればいいのか?
数字だけでなく、お客様の様子も見る必要があります。
電話を困った様子で切っていないか。同じお客様が何度もかけ直してきていないか。AIだと分かった瞬間に不満そうな声を出していないか。こうしたサインは、電話に出た人がその場で気づけます。
もしこうしたサインが増えてきたら、AIに任せる時間帯を減らしたり、答えの内容を見直したりします。逆に、特に問題がなければ、任せる時間帯を少しずつ広げていきます。
一度決めたやり方を固定するのではなく、様子を見ながら調整し続けることが大切です。
結局、電話対応はAIに任せていいのか?
よくある問い合わせはAIに任せられます。営業時間の案内、在庫確認、予約受付といった、答えが決まっている電話です。
ただし、クレームや特殊な相談は、必ず人が対応すべきです。AIは相手の気持ちをくみ取るのが苦手だからです。
全部を一気に切り替えるのではなく、まず一部の時間帯だけ試してみます。そして、お客様の反応を見ながら、少しずつ範囲を広げていく。この順番を守れば、失礼にならずにAIを取り入れられます。